医療観察法.NET

日弁連会長声明

参議院法務委員会は6月3日、衆議院において一部修正された「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律案」(いわゆる心神喪失者等『医療』観察法案)の審議を打ち切り、採決を強行し、本日、参議院本会議で可決された。 日弁連は、この法案の審議にあたり、政府原案、衆議院における修正案いずれについても反対し、法律的な疑問を具体的に表明して慎重審議を求めていたものであり、その矢先の強行採決に強く抗議するものである。

新しい制度は、現行措置入院制度をそのまま存続させる一方で、医療上に差がないことは世界的に実証済みであるのに、結果として重大な事件を行ったか否かによって、審理手続も、処遇施設も、区別する制度である。これは、何よりも入院中心主義という世界的に遅れた日本の精神医療の改革に悪影響を与えるばかりか、刑法の責任主義を事実上否定し、確定しえない「将来の危険」を要素として刑事責任のない人に対する無期限の強制収容制度の新設ともなりかねない。 日弁連は、今後とも精神医療全般の改革と刑事司法における精神医療の改善という課題について、法律実務家の立場から全力をあげて取り組む決意を表明するものである。

2003年6月6日

日本弁護士連合会
会長 本林 徹

 

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